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「熱いから気を付けろよ」
「うん」
「…あと、これも」
手渡されたのは一粒の錠剤。
「風邪薬。飲んどけよ」
「…いい奴だな、お前」
大体、兄の同級生というだけでこんなに世話を焼いてくれるし。
しみじみ言うと、透の顔が少し引きつった。
「…俺はいい奴じゃない」
「そうか?」
「いいから、食え。…薬も忘れんなよ」
「うん。いただきまーす」
透の反応が少し気になったが、すぐに持ち直して雑炊を口に運び出す。
そんな生駒の食べっぷりを、透は横でじっと見つめていた。
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