...雨宿り...

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 意外だった。たいして会話らしい会話もしていない兄の友だちを覚えているなんて。 「それよりお前、びしょ濡れじゃないか」 「…さっき転んだし…」  俯きながら不機嫌そうに呟く。  そういえば、何で転んだんだっけ。  雨に濡れて、ぼーっと考え事してて…。 「おい、どうした?」  透が問いかけているが、ぼんやりと考え込んでいる生駒は返事が出来なかった。 「おいって」 「……何?」 「お前、熱があるんじゃないのかっ?」
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