1112人が本棚に入れています
本棚に追加
「…熱?」
そうだ。
もしかして、こうもぼんやりしてしまうのは雨で機嫌が悪いせいじゃなくて…。
「ほら、早く車に乗れっ!」
「…へ?あ、でもシート…」
「いいからっ」
透はすばやく助手席のドアを開けると、生駒の腕を引いてエンジンがかかったままの車に押し込む。生駒の湿ったスーツのせいで車のシートに染みが出来ていくが、透はまるで気にしていない様子だ。
「…あ、鞄……っ」
透が運転席に乗り込もうとしている時、生駒は鞄の存在を思い出した。
最初のコメントを投稿しよう!