第一章 訪問者

4/8
前へ
/17ページ
次へ
少しの間、リオは窓枠に片手をついて空を見ていた。 外からの風が髪を揺らす。   しかし、ふいに家から十数メートル離れた茂みに視線を落とすとため息をはき、そのまま窓から飛び降りた。 風がリオを包む。 その身は軽く、まるで羽のようにフワリと地面に着地した。   はぁ…。   今日はやらなければならない事があるのに。   自分から面倒な事には関わりたくはない…だが。   「出てこいよ。」   茂みに向き直り、少しピリピリした声で言う。   「二、三日前から、家の周りでコソコソと。一体なんの…」   “つもりだ”と言いかけたその時、風がピタリと止んだ。   一瞬、リオは時が止まったかのような錯覚にとらわれる。 その隙をついて、茂みから勢いよく影が飛び出してきた。
/17ページ

最初のコメントを投稿しよう!

16人が本棚に入れています
本棚に追加