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少しの間、リオは窓枠に片手をついて空を見ていた。
外からの風が髪を揺らす。
しかし、ふいに家から十数メートル離れた茂みに視線を落とすとため息をはき、そのまま窓から飛び降りた。
風がリオを包む。
その身は軽く、まるで羽のようにフワリと地面に着地した。
はぁ…。
今日はやらなければならない事があるのに。
自分から面倒な事には関わりたくはない…だが。
「出てこいよ。」
茂みに向き直り、少しピリピリした声で言う。
「二、三日前から、家の周りでコソコソと。一体なんの…」
“つもりだ”と言いかけたその時、風がピタリと止んだ。
一瞬、リオは時が止まったかのような錯覚にとらわれる。
その隙をついて、茂みから勢いよく影が飛び出してきた。
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