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「くせぇっ!」
なんでこんなにトイレの便器は臭いんだ。
ちっとは掃除してる身にもなってみろ。
折角の寝覚めの良い朝が台なしだ。
はぁ・・・・
こういう気分に一度なってしまうとそう簡単にはやる気にはなれないんだよな。
俺は手に持っていたブラシを用具箱に投げ入れて、新鮮な空気を吸うために窓から上半身を乗り出した。
「ふぅ・・・・」
実に良い天気だ。
雨なんてのはどこから降ってくるか分からなくなるくらいに晴天。
このままこの掃除時間が終わるまで――――――――――
「ねぇ。サボり?」
突如、真下から一人の少女の顔が視界にフェードインする。
そう簡単にはサボれないか。
逃げられないと悟った俺は適当に言葉を交わす。
「ん?俺?
換気してるんだよ」
「ふーん・・・・そ」
素っ気なくそう返した彼女はいつまでも俺の視界からは消えなかった。
何か顔についてるわけでもないだろ?と無駄な抵抗をしてみる。
「うん。ただ、一緒の部屋なのに見たことない顔だなぁって」
「悪かったな。陰気で」
さ、てと。
そろそろ時間か。
「ち、違うよ!そういう意味じゃ!
いじわるだなぁ・・・・
冗談だよっ、冗談。
アレン君でしょ?名前」
ほら、しかも昨日ご飯の時隣だったし、と彼女は少し頬を膨らませる。
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