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「なんだ、しっかり覚えてくれてたのかよ」
自己紹介したのなんて最初の入所式だけなのに。
「まぁ同じ部屋だからね。
それに、なんだか私と同じ雰囲気がするから」
そう言う彼女に俺は少し皮肉を込めて言葉を放つ。
「そりゃそうだろ。
お互い両親いないんだし」
同じ雰囲気になるのは当然だ。
そんな俺の言葉を聞いて彼女は口をすぼめる。
「だーかーらーっ!!
なんでそんなにいじわるなの?
違うよ!
何かこう感じるものが・・・・その運命共同体というか、相対性理論というか」
彼女はそういいながら自らの手を胸に当て、何か呟いている。
俺はというと早く飯が食いたいので、さっさと退却することにした。
「そ。おつかれ」
「わーわーわーっ!
ごめんごめんって・・・・
じゃあ昼ご飯一緒に食べてくれる?」
なんで「じゃあ」なのかはわからないが、どうせ一人で食べるつもりだったし俺は彼女にOKサインを作って見せた。
それと同時に、昼食時間の始まりを告げる放送が鳴った。
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