2.出逢

2/10
前へ
/108ページ
次へ
それまでの沈黙を破るように男が言った。 「杏璃です。遠野杏璃」 「変わった名前だな」 「よく言われます。子どもの頃は、この名前のせいでそうとうからかわれました」 杏璃の答えに男が笑った。 「俺は立樹悠河(タツキ ユウガ)だ」 「悠河さん……、そちらもあんまり聞かない名前ですよね」 杏璃が言うと、悠河は確かに、と言ってまた笑った。 精悍な顔つきとは裏腹に、よく笑う男のようだ。
/108ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2215人が本棚に入れています
本棚に追加