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実際問題、車でも山道を抜けるまでにそこそこの時間がかかったことに杏璃は驚いていた。
少しでも歩いて何とかなると思っていた自分が浅はかだったと思う。
「本当に助かりました。乗せてもらえてよかった」
車窓から街のネオンを見ながら、改めて杏璃が礼を言った。
「いや……、最初君を見たときは驚いたよ。まさか人が歩いているとは思わなかったからね」
「ですよね」
苦笑するしかない。
「一瞬その白いワンピースが浮いてるように見えて、見てはいけないものを見たと思って焦ったんだ」
指摘されて、杏璃は思わず自分の服を確認した。
確かに真っ白のコットンワンピースは、幽霊やお化けが良く着ているそれに見えないこともない。
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