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杏璃(アリ)は、ほんの数分前の自分の言葉を後悔し始めていた。
空を見上げても月すら見えない暗い夜だった。
そもそも生い茂った木が空を狭くしているのだから、月が出ていたとしても光は望めない。
杏璃はため息を吐いた。
曲がりくねった道は狭く、暗く、そして冷たかった。
自分のヒールの音がやけに響く。
どうしてこんなに街灯同士の距離が離れているのだろう。
ガサリ、とガードレール脇の草陰から音がして、思わず肩を竦ませた。
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