1.放置

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杏璃(アリ)は、ほんの数分前の自分の言葉を後悔し始めていた。 空を見上げても月すら見えない暗い夜だった。 そもそも生い茂った木が空を狭くしているのだから、月が出ていたとしても光は望めない。 杏璃はため息を吐いた。 曲がりくねった道は狭く、暗く、そして冷たかった。 自分のヒールの音がやけに響く。 どうしてこんなに街灯同士の距離が離れているのだろう。 ガサリ、とガードレール脇の草陰から音がして、思わず肩を竦ませた。
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