2.出逢

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「分かった」 短い沈黙の後、悠河の運転する車がコンビニの駐車場に滑り込む。 サイドブレーキを引いた悠河に杏璃は向き直って頭を下げた。 「今日は本当にありがとうございました」 時計はもう11時を回っていた。 「ぜひお礼をしたいので連絡先を教えてほしいんですが……」 「いや――、礼なんかいらないよ」 「でも」 もしかすると連絡先を教えたくないのかもしれない。 食い下がろうとした杏璃の脳裏にその可能性が浮かび上がり、言葉を続けることができなくなった。 「気をつけて」 杏璃が車を降りると悠河は窓を開けてそう言い、車を出した。 低いエンジン音が遠ざかるのを聞きながら杏璃はため息を吐く。 おそらくもう会うことはないだろう。 なんだか今日一日で起こった様々な出来事全てを忘れたくて、足早にコンビニに入った。
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