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――やっぱり家まで送ってもらうんだった。
殴られた頬が熱い。
見知らぬ男が自分にのしかかってくるのを感じながら、杏璃は今更後悔した。
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それは、一瞬の出来事だった。
コンビニからマンションまでのほんの数分の道のりで、杏璃は暴漢に出くわしてしまったのだ。
後ろから口を塞がれ、あっという間に休工中の工事現場に連れ込まれた。
思わず悲鳴を上げた途端に殴られ、その拍子で倒れこんだ杏璃を男はさらに数回殴った。
口の中が切れ、鉄の味がする。
最早恐怖で声を上げることも、体を動かすことも出来なかった。
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