3.暴漢

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足音は一度止まり、そして近づいてくる。 「だれか……!」 「――このっ」 暴漢はもう一度杏璃を殴ると、諦めたのか入ってきたのとは逆の方向に走っていった。 「……助けて……!」 体を丸め痛みに耐えながら、杏璃はもう一度叫んだ。 精一杯の大声を出したつもりだったが、恐怖からか呟いた程度しか出ない。 それでも足音は、確実に自分に近づいていた。
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