1.放置

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不意に車のエンジン音がして薄暗かった道路が一瞬明るくなった。 横を車が通り過ぎていく。 その真っ赤なテールランプを見送りながら、思わず泣き出したい気持ちになった。 高いヒールで傾斜の強い下り坂を歩くのはもう限界にきていて、つま先も踵も靴擦れでヒリヒリと痛んだ。 体が冷えて震え始める。 と、その時、先ほど自分の横を通り過ぎていった車が止まっているのが見えた。
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