2215人が本棚に入れています
本棚に追加
/108ページ
バツの悪さから、杏璃は男の顔を見ることが出来なくなった。
深夜の山道をこんな格好で歩いている女を見て、どう思っているかなど大体想像がつくというものだ。
「もし」
男が言った。
「もし君に、歩いてこの山道を帰るという選択肢しかないというのなら」
反応を伺っているのだろうか。
男はそこで一度言葉を切ると、杏璃を見た。
杏璃は俯いたまま動かず、次の言葉を待っている。
「俺の車に乗っていかないか」
最初のコメントを投稿しよう!