1.放置

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バツの悪さから、杏璃は男の顔を見ることが出来なくなった。 深夜の山道をこんな格好で歩いている女を見て、どう思っているかなど大体想像がつくというものだ。 「もし」 男が言った。 「もし君に、歩いてこの山道を帰るという選択肢しかないというのなら」 反応を伺っているのだろうか。 男はそこで一度言葉を切ると、杏璃を見た。 杏璃は俯いたまま動かず、次の言葉を待っている。 「俺の車に乗っていかないか」
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