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「とにかくっ、
お前なんかに楓兄は
渡さないからなぁぁぁあ!」
叫びながら、また大きな音を
立てながら扉を押し開き、
走って出ていった。
言いたいことを言い切ったのか
慣れているのか、
面倒だったのか、
楓の二度手間な質問には
答えなかった。
「紅葉!」
開け放たれた扉から紅葉が
ひょっこりと顔を覗かせる。
「それから!
今日は午前授業だったんだ!」
再び走り去って行った。
「悪い、雪。
また夜に顔出すから!」
そう言って
楓がその後を追いかける。
残された雪と玲はしばらくの間
開きっ放しの扉を
惚けた顔で見ていた。
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