第2話

5/5
前へ
/65ページ
次へ
「とにかくっ、  お前なんかに楓兄は  渡さないからなぁぁぁあ!」 叫びながら、また大きな音を 立てながら扉を押し開き、 走って出ていった。 言いたいことを言い切ったのか 慣れているのか、 面倒だったのか、 楓の二度手間な質問には 答えなかった。 「紅葉!」 開け放たれた扉から紅葉が ひょっこりと顔を覗かせる。 「それから!  今日は午前授業だったんだ!」 再び走り去って行った。 「悪い、雪。  また夜に顔出すから!」 そう言って 楓がその後を追いかける。 残された雪と玲はしばらくの間 開きっ放しの扉を 惚けた顔で見ていた。
/65ページ

最初のコメントを投稿しよう!

510人が本棚に入れています
本棚に追加