第2話

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「そ。これが俺の弟の  道明 紅葉(もみじ)。」 楓の目元を少し優しくして、 背を少し小さくした感じの彼は 狂った楓でもなく、 ドッペルゲンガーでもなく、 勿論、楓ハーレムでもなく、 正真正銘の楓の弟だった。 そうとわかれば玲が 紅葉に席を勧め、 雪が人数分のお茶をいれる。 四人掛けの席に雪と玲、 楓と紅葉が座った。 「マスターの桂 雪だ。」 「アルバイトの室街 玲です。  宜しくね。」 「道明 紅葉です。  いつも兄が  お世話になっています。」 いえいえ、こちらこそ… と日本人らしい、 よそよそしい挨拶の中に 楓が口を挟む。 「で、何でお前が  ここにいるんだ?  学校はどうした?」 その言葉に 本来の目的を思い出したらしい 紅葉が勢い良く立ち上がった。 左手を腰に当て、 ビシィッと再び雪に 指を突き付けた。
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