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「よう」
「……おぅ」
「まいったぜ。このクラス一年の時の友達がいねーょ」
「ハハ、俺もだよ」
「よろしくな。こうして席が前後になったのも何かの縁だ」
「五十音順の縁だな」
「ん?」
「いや、なんでもない」
「まぁよろしく。田中だ」
「そんな俺はお前の前の立木だ。よろしく」
「お前知ってるか?」
「何が? そして唐突だなお前は」
「この高校の……」
「高校の?」
「七不思議」
「…………」
「知らないだろ」
「そんなものが、まだ世間で流行ってることを知らなかったよ」
「まぁ大半の奴が興味ないな。肝試しなんて野郎だけでやってもなんも面白くないし。かといって女子と肝試しなんてよっぽど仲のいい女友達いないと無理だ」
「そういう派閥に俺は属してないからな」
「俺もだ。だけど七不思議を知ってんだぜ」
「その知識でモテようってか?」
「そんな漫画みたいな話ねぇーよ」
「……この学校の七不思議って?」
「お、興味もったな」
「聞くのが流れだろうが」
「まぁな、七不思議っても6個はほとんどどうでもいい内容なんだわ」
「もぅやめとけ七不思議」
「いやいや待てよ。でも本当に6個はどうでもいいんだわ。ひとつだけ信憑性が高くてめちゃくちゃ恐ろしいのがあるんだ」
「めちゃくちゃって……なんかその時点であんま怖そうじゃない」
「いや、怖いぞ。俺、最初この話をポケベルで聞いた時は授業中だったの忘れて叫んじまったもん」
「ポケベル?」
「んぁあ、まぁそこはどうでもいい」
「……じゃぁ怖いの聞く前に一つくらい別の教えろよ」
「んー……。これはあんま言いたくないが、教えてやるよ。武道場のな、一番右端の奥から2番目の畳には毎週金曜日に100円入ってるそうだ」
「なんだそれ」
「そして誰かが100円を取っても次の金曜日にはまた入ってる」
「素晴らしいじゃないか」
「まぁ知ってるのは俺とお前くらいだ。今度行ってみな」
「俺に言って良かったのかョ」
「俺は金に困らないからな」
「ソーデスカ」
「話それてるな。それでよ、コエーのがさ、七番目の話なんだよ」
「うん。たいがいそうだろ。七番目にオチ持ってくるだろ」
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