3.カギガガリ

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【4月20日 月曜日】 鍵係で良かった。 私に開けられない扉はないの。 全部グチャグチャ。 さようならみなさん。 「あっおい野口! 一緒に帰ろうぜ!」 「あぁ、拓也か。いいよ」 「ん? どうした? 顔色悪いぜ?」 俺はため息をついた。 「うちのクラスの、佐々木って女子知ってるか?」 「あぁ、あの暗い気持ち悪い女子だろ? あいつがどうした?」 俺は最近起きた出来事を全て拓也に話した。 「……それっていわゆる」 「ストーカーって奴だ」 「うぇー。あり得ねー! そういうのって漫画とか小説の中だけだと思ってた」 「俺もだよ」 俺はもう一度ため息をついた。 「今日な、なんでアドレス変えたのって急に聞いてきてよ、俺、我慢できなくて切れたんだ。佐々木に」 「そしたら?」 「告白された」 「まじで!?」 拓也は吹いた。 「笑えねーよ」 「それで?」 「気持ち悪いんだよ!! 死ね! 的なことを言って終わり」 「それでいい。お前は正しい。プフ」 拓也はまた吹いた。 俺はそのまま家に帰った。 いつもなら拓也と遊んで帰るんだが、気乗りしない。 こういう時は大人しく寝よう。 俺は部屋に入って速攻ベッドに倒れ込んだ。 「ん?」 机の上に見慣れないcampusのノートがあった。 俺は昼寝に入る前に机に向かった。 比較的新しいノートだ。 俺のじゃないぞ、これ。 俺はノートをパラパラめくった。 そして、うわぁっと叫び、ノートを投げた。 それは、ほぼ俺について書かれた日記だった。 反対側のページから俺の似顔絵までも描いてある! リアル過ぎて不気味だった。 悪質な嫌がらせだ…………。 「……なんでこんなもんがうちにあるんだ?」 そして俺は氷ついた。 背筋がゾクゾクする。 振り向けないが、気配はした。 「私は鍵係なの」
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