忍び寄る恋の影

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「オイ、今なんか見えたんだけど」 「あ? 何が」 「いや、なんか女が一瞬見えたんだけど」 「一瞬かよ」 「そう一瞬。たぶんお前がいたから引き返したんだよ」 「何でだ」 「恐がられたんだよ。莉緒の見た目が」 「だとしたらお前じゃねーの?」 「それはない! 俺ってばお前と違ってほら、女の子にはすげぇ優しいから!」 失礼なこと言うなよ。見た目で言うなら、お前も大差ないっつーの。 「じゃあそれでいいんじゃね?」 「何だよ! 相変わらずクールぶってんなぁ」 「ああもうマジうぜぇ」 昼休みの中庭で、飯食って寝転んで、ダラダラと過ごすのはもはや日課になっている。 女子のように寄せ集まって過ごすのが好きなわけじゃないが、別に害が発生することもない為に、気がつけば何故か隣にいる奴らと過ごすことが多い(とはいえ生まれた頃からのつきあいで、腐れ縁以外の何物でもない)。 そのせいで教師や他の生徒からは、三人組とひとまとめで呼ばれる。 俺、神崎莉緒と松田拓海。 そういえば今日はいないがもう一人、大塚歩。 こいつらが親友と呼べるほど、いいもんかは定かではないけど。
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