虹ライオンの遠吠え

忍び寄る恋の影

うわ……今なんか見えたんだけど。
迷うことなく踵を返し、曲がったばかりの角をまた曲がる。
最悪……一人静かに過ごそうと、人が少ない場所を選んだつもりだったのに、あいつらの指定席だってことを忘れていた。
チラ見した限りでも分かるほどの有名人。まあある意味ではあるけど……
着くずした制服(指定のシャツすら着ていない時もある)と、金髪に近い茶髪にピアス。馬鹿丸出しのあれは、少なくとも学校に来るような格好じゃない。

珍しいな、いつもは三人でいるのに。……それはどうでもいいか。あいつらよく学校通えるな。きっと鳥の羽よりも軽いだろう頭で。
あんなんで単位とれんのかよ。うちの学校もたいしたことないな。
まあそれもどうでもいいけども。

そしてある意味あたしも有名人。
学校の奴らが陰で言っているつもりでヒソヒソ噂をしている。無口で暗いだの怖いだのと。陰口のつもりなら聞こえないように言うことが、せめてもの礼儀でしょうが。

まあ、それもどうでもいいことだ。