忍び寄る恋の影

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「さっきの奴さぁ……」 「さっきの?」 ああチラ見の…… 「見えたの一瞬だったけどすげぇ可愛かった!」 「そーなの?」 「おう! かなりのオーラ出てた!」 見てないから分かんねぇけど、オーラってどうよ? どうでもいいよ。何言ってんだ、この鳥頭は。 「一瞬だったんだろ?」 ちなみに鳥頭の由来は、拓実の頭が鶏のトサカみたいだから。真っ赤に染めた髪の毛を、逆毛におったててる様子は立派なトサカだ。 「あれは愛しの亜美と同じぐらいの美少女オーラ出てるとみた!」 あー残念、脳みそ軽い系の発言出た。 「亜美からそんなオーラが出てんの知らねぇ。見たことねぇ、つーかアイツにそんなもん見えるわけがねぇ」 「人の彼女にその言いぐさは何だ! 死なすよ? 死なせちゃうよ?」 お前の脳内は女ばっかりか。このバカップル代表の恋愛馬鹿が。 「さっきの女の話じゃなかったか?」 「そうだった。見たことないんだよなー」 どんだけ把握してんのか知らないけどな、そりゃそうだろ。校内には見たことない奴もいるだろうよ。 「なにお前そんな気になんの?」 「気になるっつうか……」 「へー。んじゃ亜美に言っといてやるよ」 「そんなんじゃねぇから! 俺はいつでもどこまでも亜美一筋だから!!」 うぜぇ…… 「そのまま一筋に、一直線に死んでしまえ」 「ゴルァー莉緒! お口が過ぎるぞ!!」
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