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「あら!服が汚れてる!あなたまた喧嘩してたでしょ!東吾さんが悲しむわよ!」
「うっせえ。喧嘩は売られたら買うのが俺の主義なんだ。それにあのクソ親父のことはもう言うなっつったろ。」
東吾というのは俺の親父の八坂 東吾(トウゴ)という奴で5年位前に交通事故で勝手に死にやがった糞野郎だ。
「東吾さんをクソ親父と呼ぶのは止めなさーい!」
そんな母の声を背に俺は部屋に戻った。
ドサッ
俺はベッドに横になり、あのクソ親父のことを考えていた。
あいつは剣道や武術の達人で、俺も幼い頃からそれを習っていた。
だからこそ今喧嘩が強いんだけどな。
そしてあいつはいつも言っていた。
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「一輝、お前は何のために強くなりたい?」
「んー。考えたこともないや。お父さんは?」
「ん?俺か?俺はな、誰かを守るために強くありたいんだ。」
「誰かって?」
「助けを求めている人達や、弱い人達、それと......お前達だよ。」
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しかし親父は5年前車にひかれそうな人を助けようとして死んだ。助けようとした人も死んだ。要するに犬死にってことだ。
なんだよ。あんなこと言っときながら誰も守れてねぇじゃねぇか。
悪いが俺とあんたは違う。俺は自分のために強くなるぜ。いや、なったんだ。
そんなことを思っているうちに俺は眠りについていた。
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