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僕はしばらく降り積もってきた雪を眺めていた。
「お~い。」
弓道部で1番仲の良い友達の真吾の声が聞こえてきた。
「先輩と何話してたんだよ。」
真吾が茶化してきた。
「何も話して無いよ。」
僕は笑いながら話した。
「ふ~ん。こんな所で何も話してないんだ」
「俺だったらキスしてるけどな。」
真吾は凄くモテた。
ただ、真吾の性格が良くないせいか、同じ彼女と長い間付き合う事は無かった。
「キス出来る程の度胸は持ち合わせてないよ。」
僕は言った。
「まぁ…。確かに。」
その真吾の納得した表情に少しだけ慰められたりも傷付いたりもした。
真吾と僕は仲が良かった。
同じ中学校だったが中学では話した事はあまり無かった。
偶然にも高校で同じ弓道部に入った。
多分同じ部活に入らなければ友達になる事は無かったと思う。
真吾の評判は中学の時からかなり悪かった。
前も言ったが、彼の性格はお世辞にも良いとは言えない。
真吾はかなり自己中心的だった。
ただ、とても顔が良い。
某イケメン俳優という奴に似ていると言われていて、女の子にはモテていた。
僕と正反対の性格のせいか仲良くなるのに時間はかからなかった。
真吾は自分にだけ何でも話してくれた。
とても気が強く自己中心的な性格のせいか、弱音を吐いたり 何か悩んでいるのを他の人には言わなかった。
ただ、僕を信用してくれていたのか、僕には何でも話してくれた。
僕の高校の弓道部は強豪校だったので土、日曜関係なく練習があった。
だから、毎日のように一緒にいた。
喧嘩をした事もなかったし、お互いが愚痴を言った事もなかった。
ただ、僕は彼に何かを相談した事は無かった。
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