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「まず、先輩は優くんに好意を寄せてたらしよ。」
僕は驚いた。
驚いた表情を見て真吾は続けていった。
「最初は優くんの兄ちゃん。俊輔さんね。が好きだったんだって。」
同じ中学だった真吾は僕の2番目の兄を知っている。
「そうだよね。」
僕はがっかりとした表情をした。
「まぁ、俊輔さんは俺でも惚れる。」
「でも、優くんの誠実な対応に少しずつ好きになっていったんだって。」
真吾はフォローするように言った。
「じゃあ、何でフラれたの?」
僕は急かし気味に真吾に聞いた。
「結局、俊輔さんが好きか、優くんが好きか分からくなっちゃったんだって。」
真吾はうま〇棒を食べ終わりタバコに火を点けた。
しばらくの沈黙の後、僕は、
「じゃあ、何であんなメールを送ったの?」
と聞いた。僕はあのメールは先輩の友達が送ったのではなく、先輩本人が送ったものだと思っていた。
「あのメールは本当に先輩の友達が送ったんだって。」
「ただそれは本人も了承してたらしいよ。」
「その先輩も奥手だったんだって。それを心配した友達が本人と相談した上で送ったみたいだよ。」
「一晩考えたらやっぱり違うんじゃないかって。」
「それで見事に優くんはフラれた訳。」
タバコを吸い終えた真吾を前に僕は何も言えずに下を向いていた。
「女ってのは難しいね。」
その真吾の言葉を最後に僕達は何も話さずに家に帰った。
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