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僕は重い足取りで部室へと向かった。
僕は中学の時、バスケ部に所属していた。
しかし、中2の夏。僕は試合中にボールを夢中で追いかけて飛び込んだ時に、左足を複雑骨折してしまった。
全治6ヶ月の大怪我。
その怪我で、僕はバスケ部のマネージャーの仕事を任せられるようになった。
そして最後の試合も僕はコートの外でスコアブックをつけていた。
まぁ、運動神経は無いので怪我をしてなくてもコートに立てたかどうかは分からないけど…。
今でも傷跡が残っているし、時々傷跡が疼く時もある。
医者には切断も有り得ると言われて普通に歩くのも困難になるかもしれないとも言われた。
しかし、幸いな事に普通に歩けるし走り周る事だって出来る。
ただ、もうスポーツ系の部活には入らないと決めていた。
そして僕が選んだ部活が弓道部だった。
極限までに集中して矢を放つ、そして的に当たった時の爽快感。全てが新鮮だった。
初めて弓道と言うモノを間近で見た時に、純粋にカッコいいと思った。
それから一年。僕はここの部の誰よりも練習を重ねたと思う。朝早く一人で練習し、夜も遅くまで練習した。
しかし、その努力は実らなかった。
周りの人達は続々とレギュラー入りを果たすのに僕は補欠にすら入る事が出来なかった。
その悔しさのせいもあって、部室に行く足取りが重くなっていた。
僕の足取りとは対照的に頭の上には満開の桜が咲いていた。
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