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ここからが本題。
僕の恋愛の話。
それは高校一年の冬。
僕は一つ上の先輩に告白をした。
告白をしたのは生まれて初めてだった。
内気で奥手な僕は女性と話した事はほとんどなかった。もちろん、今まで彼女がいたことも無い。
その先輩は僕の兄を知っていた。
気軽に僕に話してくれる先輩を好きになるのにそんなに時間は掛からなかった。
最初は僕の兄が好きなのだと思っていた。
僕は兄の代わりに女性からプレゼントを渡され、「これお兄ちゃんに」というのを嫌と言うほどやってきた。バレンタインデーともなれば大忙しだ。
その先輩も兄の話ばかりしてきた。
やっぱり兄の事が好きなんだと僕は思っていた。
しかし、ある日、その先輩からこう言われた。
「君は本当にお兄ちゃんの事が好きなんだね…。」
そう言われて僕は気が付いた。
先輩が兄の話しをしているのではなく、僕が兄の話しをしているのだと…。
僕には僕自身のネタが無い。
話しが途切れたりすると決まって僕は家族の話をしたり友達の話をする。
僕には、僕自身の事をネタに出来る程の「話し」の才能は無い。
今まで僕の身の回りの出来事について、友達に話しても誰一人笑う人はいなかった。
多分、自分自身の事を自分が一番理解出来ていないのだと、僕は思ていたし、今も思っている。
ある日、突然、僕は先輩に告白しなければいけない事になってしまう…。
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