自己紹介。

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ある日、突然携帯にメールが届いた。 好きな先輩からだ…。 初めて先輩から声を掛けて貰った時の言葉が「携帯のアドレスを交換しよう」だった…。 何度かメールをした事はあったが、全部自分から送っていた。 先輩からメールが送られて来る事は初めてだった。 急にメールが来たので僕は期待と不安に心がドキドキした。 メールボックスを開けると…。 内容はまとめるとこんな感じ。 あなたの事が前から好きでした。付き合って下さい。 すごくビックリした。 本当になんの前触れもなくこんなメールが届いた。 しかし、僕はすごく嬉しかった。 憧れの先輩からまさかの告白。 僕はすぐ返事を出した。 「こんな僕でよかったら喜んで…。」 そしてまた明日の部活でゆっくり話そうとメールが来た。 僕は明日が待遠しかった。 生まれて初めての彼女が、好きな先輩。 その夜はなかなか寝付く事が出来なかった。 そして、長い長い授業が終わり、いよいよ部活の時間が来た。 僕は足取り軽やかに鼻歌混じりで部室に向かった。 友達には先輩に告白された事は内緒にしていた。 僕の周りの友達はみんな、その先輩に少なからず好意を持っていたからだ。 僕はすぐにでも友達に自慢したかったが、確信が無かったので言えなかった。 心のどこかでこの現実を信じきっていない自分がいたからだ…。 そして、部活が始まった。 僕は先輩の事ばかり気になって、集中する事が出来なかった。 先輩の弓を構える姿、弓を放つ姿、矢を拾いにいく姿。 全て目で追っていた。 しかし、その先輩は一度も僕と目線を合わせようとはしなかった。 それどころか、明らかに目線を僕に合わせないように、必死に外そうとしていた。 僕の不信感はますます募るばかりだった…。
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