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物心つく前から、ずっとずっと好きだった。それが恋だとは分からなかったけど、何よりも大事な存在だったから。
俺の全部で守っていく。それが子供の頃からの俺の使命だった。
覚えている限りでは、幼稚園の時以来、そんな使命を口にしたことはないし、それを本人には言わないけど。そしてそれを、飛鳥が望んでいるかは分からないけれど。
とことん不器用で、他人に弱いところを見せることを良しとしない彼女の、支えになりたい。俺にだけは見せてほしい、寄りかかってほしい。もっともっと頼ってくれたっていいんだよ。どんな飛鳥だって俺は受け止めるから。
───こんな俺の想いを伝えたら、彼女はどんな顔をするだろう。
ばればれだって笑うかな。それとも嫌な顔をする……?
十七歳の今、人付き合いが上手くできなくなった彼女は、精一杯強がって人を寄せ付けようとしない。
痛々しいまでに虚勢を貫くことで、自分を守る術を身につけた姿は、不甲斐ない俺を映し出しているようだ。
『ねえ飛鳥、そんなに一人で苦しまないで。自分に傷をつけるのはもうやめて』
───飛鳥の支えになる為に生きてる俺の、支えになれない俺の、エゴ。
FIN.
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