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そんな僕の頬を暖かいものが包み込んだ。君の手は冷たいけど、暖かい。ふんわりと柔らかい君のてのひらが、心地良くて。だけどとてもどきどきする。 その時、君の姿が揺らいで見えた。 「どうして泣くの?」 「……え?」 じゃあ揺らいで見えたのは、僕が泣いていたから? でもどうして泣く必要があるんだ自分。 「あ、いや……」 振り払うように、手から逃れた。後ろを向いて腕でごしごしと、気づかないうちに溢れていたものを拭う。 ……きっと、嬉しかったからだと思う。表現できないほどの喜びが、涙となって溢れてしまった。 だけど仮にも男の僕が泣くなんて、不覚にも君の前で。 「可愛いなあ……」 背後から不意に聞こえた声に耳を疑う。何だって? 今可愛いって言ったのか? 何が。 振り返ってみると、君はくすくすと笑っていた。 「あなたも嬉しくて泣いたんでしょう?」 可愛いなあ、いとおしいなあと、僕を見ながら何度も呟きながら目を細める君が、悔しいけど……たまらなく綺麗だった。 たった今、気持ちが繋がったばかりで、恋人という関係になった君を……抱きしめたい、口づけたい。 そんなことを思っても、すぐに行動できない臆病な僕は、情けない。そんな僕を見てまた、君はくすりと笑った。 恥ずかしくて情けない自分を、見透かされているようで……カッと顔が熱くなる。
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