愚行

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溶かされかけて夢から覚めた。 真夏の熱い熱い太陽が痛いくらいに肌に突き刺さり、タイマーをかけわすれていたエアコンが冷やす空間の中、ブラインドから差し込む幾筋かの線が、俺をどろどろに溶かそうとしていたのだ。 昨夜は金曜日。彼女の麗奈が泊まりに来ていて、一緒に夕飯を作って食べて、まったり過ごした後には仲良くお風呂に入った。最初のうちは可愛く洗いっこなどしてはしゃいでいたのに。 俺ときたら……シャボンに見え隠れする麗奈の体に欲情し、あっちを触ったりこっちを触ったり(泡のヌルスベも手伝ってくれたし)。そのうち麗奈の虚ろな目と、蕩けた身体に我慢ができなくなって、結局最後までしてしまった。 出すモノは出したはいいが、どうにも冷めない。後処理もせずベッドになだれ込み、欲望のままに麗奈を抱いて、そのまま寝てしまったのだ。 性欲真っ盛りのガキじゃあるまいし、欲のまま好きな女を抱くなんて最低だ。 先に意識を飛ばしていた麗奈は、俺が汗を拭いてやりもせずに力尽きてしまったせいで、体が冷えてしまっていた。慌ててエアコンのリモコンに手を伸ばし、ブラインドを上げると、俺を溶かそうとしていた光のシャワーがさんさんと降り注ぐ。麗奈の白い肌を助長するように照らし、茶色がかった髪は透明感が増す。 ずっと見ていたいのはやまやまなのだが、冷えきった体を温める事を優先しないといけない。薄手の毛布でくるみ、抱き寄せて細い体を擦る。 温まってきた室内と、麗奈の体を確認したあと、バスタオルやら下着やらが散乱した床が目に入り、ある程度の年齢に達しているのだから我慢も必要だと、反省どころか猛省しなくてはいけない。 頭の中で謝罪をし、目元にキスを落とす。 体力を使い果たしている麗奈は、起きる素振りも見せず深い眠りだけど、適温に達したことで気持ち良さげに見えて、ほっと胸をなでおろした。
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