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ー2700年ー
コルドバ牢獄
最下層207番
花園 雅
僕はその扉を開き彼女を助けた
ーーーー吸血鬼と少女ーーー
私はいつも窓もない光の届かない最下層の牢獄で目覚めていた
だけど今は 月夜の優しい光が私を照らしていた
そして最初に目にした人それは
黒い髪に綺麗な黄金の瞳 すらりとした青年だった
青年は私に近寄るとこう言った。
「君は解放されたんだ。好きな所に行っていいですよ」
と 悲しそうな顔で述べ
私は首を横に振った
「帰る場所がわからないの。」
帰る場所が解らないのは記憶が飛んでしまったからだと私は理解していた
そのことを知っていたかのように
青年は私の手を握り
暗い森の奥へと私を連れていったそして森の中には小城が建っていた
青年はドアをあけると中に入り
私をソファーにすわらせた
その時 妙に懐かしい気持ちになった
ここに来るのは初めてのはずなのに
酷く懐かしく そして悲しかった
青年は私の頭を撫でてこういった
「つらかったね雅。でももう大丈夫だから」
頭を撫でる手さえも私を包み込んでくれるくらい優しく思えた
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