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「心ちゃん!
いやっ…あっ…
心ちゃ…」
すぐ傍で、沙良が泣いているのが微かに見えた。
遠くでは、母親の耳をつんざくような叫び声が聞こえた。
俺は握ってくれている沙良の手を精一杯力のはいらない手で握り締め言った。
「ごめ…沙…良…
ごめ…」
「心ちゃ…もう…しゃべらないで…もう…
大丈夫…今…今…救急車呼ぶからね…」
そう言いながら、沙良の手が…口が…小刻みに震えているのがわかった。
俺…死んじまうのかよ…
沙良…
愛してる…
俺は、そこで意識を手放した。
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