異変

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彼女は私の方を見詰めた。小さい鼻筋は真っ直ぐで、黒目がちな瞳は素直に可愛いと感じるなかなかの美少女だ。 後ろ姿というのは正体を表さない。 見詰めるだけならまだしも、その「女子高生」は通り過ぎようとする私の肩を叩いたのだ。 もう逃げられない。 私は次善の策を考えた。 『見ましたよね?』 彼女は確かにそう言った。 私は「何を?」と言うように素知らぬ振りをする。 『うーん、見たというより……見えちゃうのかな』 意外な、いや核心をついた事を言う彼女の言葉に私は通勤に急ぐサラリーマンを演じきれなくなった。 足を止めざるを得なかった。
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