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私は作戦を変えることにした。素知らぬ振りはもう通用しないと観念したからだ。
『見たと?何をだね』
語気を強めて言う。ただ、周りの目も気になるので飽くまでも小さな低い声で。それは私なりの「威圧」だった。
しかし、彼女がその「威圧」に屈服することは無かった。少し哀れむ様な目つきで返すのだ。
『言わなきゃダメかな?……私のブラの線。いや、全身見ましたよね』
図星だ。
図星であればあるほど、胸の辺りから反発心が湧き上がって来る。
『な、何を言うんだね。私が君を見ていたと?自意識過剰も甚だしい』
私の声は震えていた。怒りからか、誤魔化そうとするからか。
抑えきれなくなって彼女の瞳から視線をずらした。
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