8256人が本棚に入れています
本棚に追加
その時、不意に目の前の「女子高生」は歩みを止めた。
その拍子に私は彼女に近づき過ぎた事に気付き、後悔した。
(気付かれた?)
やや、右側に方向を変え、ただの「通行人」としてやり過ごそうとした。
しかし、私の思惑は砂の城のように脆く崩れ去った。
『あのう……』
彼女はこともあろうか、私に声を掛けて来る。
一気に汗が噴き出すのを感じる。冷たい冷たい汗だ。
気付かぬ振りをしようと考えた。通勤に急ぐサラリーマン。それが私の今、演じるべきキャラクターだ。
通り過ぎようと試みた私は彼女の一つの策にはまることとなる。
最初のコメントを投稿しよう!