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「俺はただ、母親の言う通りに生きてきた。父親は俺や妹、母親に無関心だから。そんな母親が可哀相で、いつの間にか逆らえない自分になっていたんだ」
「そっか」
てか妹いたんだ。
ってゆう空気の読めないツッコミはしないでおこう。
「だけど渚は…自分の目できちんと未来を見ている。そんな渚の彼氏だって、俺は胸を張れるのかって情けなくなった」
驚いた…仁がそんな風に思ってたなんて。
「だからこないだ屋上で、渚に大学に行くか聞かれた時も答えられなかった。母親が大学に行かせたいから、今までは進路を大学にしてた。俺自身は大学に行きたいのか…分からなくなって」
「でもさ…仁は頭良いんだし。大学に入れるじゃん。なら、とりあえず大学行って、それから将来を考えても良いんじゃない?」
私はまぁ…行かないけど。王華ならエスカレーターだから試験無いし、普段のテストを頑張れば何とか大丈夫な仕組みだから。
もし進学を希望したら、王華には入れるだろう。
でも仁は、どの大学だって入れる頭がある。
「…お前は俺に勿体ないな」
「ん?何か言った?」
聞き逃した私は仁に聞き返す。でも仁は、フッと笑って「何でもない」と言った。
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