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私は慌てて上半身を机から離した。
会室の入口には…
「仁…」
左の額に、ガーゼを貼った仁が立っていた。
「仁…仁!」
私は走って、入口に立つ仁に抱き着いた。
「渚…連絡しないで悪かった」
私は涙が込み上げてきて、言葉につまり…ただ首を横に振るしか出来なかった。
自分が思ってた以上に、仁に会えない事が辛かったみたい。
「何とかなったから…もう放課後になったけど学校に来た」
やっと仁に会えたのに、仁のその言葉で更に涙が溢れ、ぼやけて仁の顔が見えなかった。
「…あ!今日煙草の見回りだったよね」
貴久がそう言うと、皆が会室を出て行くのが分かった。
「悪いな…貴久」
「仁…仲間でしょ?」
初めて仁が、貴久を名前で呼んだ事に、この時の私は気付いていなかった。
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