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「何故私を助けた。」
今度は零がベルゼブブに質問した。
「お前が俺を助けたからだ。」
零はまた何でと訊いてくる。
もうこのパターンも慣れてきた。
「あー…、義理?」
と言っても分かるはずがなく、他の言葉を探す。
なるべく分かりやすそうな言葉を。
「……お返し?」
「あーー。」
何となくだが伝わったようだ。
にしても、零の反応には拍子抜けしてしまう。
あの天界での姿が嘘の様だ。
ベルゼブブは立ち上がった。
疑問も解決した。もう用は無い。というより最初から用なんて無い。
「あばよ。」
数歩進んで振り返る。今度は零は着いて来なかった。
まだ座っている。
自分は何を躊躇しているのだろう。振り返る必要など無いではないか。
進み出そうとした時、後ろから「……もう会えないのか?」と聞こえまた振り返る。
「あ?」
「もう、会えないのか?」
会う必要なんて無い。ましてや会いたくなど無い。ベルゼブブにとって零は憎むべき存在なのだから。
そう、憎むべき存在。
なのに。
「……また此処に来い。」
この短時間で、零に対する何かが変わった。
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