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黒煙が舞い、空が灰色に染まっている中、翼をもがれた天使達の上でそれは漆黒の髪をなびかせている。 全てを0にする者。 ――…零。 神の傑作であり、失敗作。 全てを壊す事ができる。だが、その対象は産みの親である神にも向けられた。神は力を与えすぎたのだ。 そして今、その有り余った力が使われている。 天界の反乱だ。 ルシファーを主とする天使達の反逆。それを制圧する為に駆り出された。 そして、今目の前にもその対象がいる。 純白の翼が数枚もげ、残った翼も自らの体液や黒煙によって薄汚れている。 蝿騎士団を作り上げ、ルシファーの右腕の存在。 神から、死を運ぶ者へと堕ちた者。 息絶え絶えだが、まだ反抗する力が残っている。 もう一撃決めようと近付いて行く。 俯いた顔が上げられた時に見えた赤い瞳。その赤い瞳に込められた敵意に一瞬足が止まる。次の瞬間、辺りが光に包まれる。 「ハッ!一発決めてやったぜ!!」 そう勝ち誇れたのは一瞬で、気付いた時には零が目の前にいた。 頬にかすった程度の傷。もう既に再生を始めていた。だが、零に傷を付けたのは確かだ。 口を吊り上げながら、零の攻撃を受ける。 次見る景色は、闇だろう。 衝撃音が天界に響いた。
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