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現管理人は、確かにそう言った。とても不自然だ。俺は管理人をやろうかどうか迷ってはいたが、そんな事は一言も喋っていない。
『…どうかしましたか?』
「…あ、いえ。それよりも、とりあえず一日だけ管理人をやらせてください。決まったら連絡しますから」
『解りました。それでは、管理人ページの未処理という所をクリックして下さい』
「……はい、入りました」
現管理人にリアルタイムで指示を受けながら、マウスをクリックする。未処理の中には、大量の文字列が並んでいた。
『それは、今回の処理までに新しく検索されたものです。全てが今までに検索されたことがなく、対象になる動画が撮られていません』
「…え…? と、撮られてないとか、どういう意味ですか?」
彼はまた妙なことを言った。いや、厳密に言えば不自然な発言ではないが、普通動画は撮ったり作ったりした物を「掲載」するものだ。このタイミングでの、彼の「撮られていない」という発言は少しおかしい。
『…貴方は、何故当サイトで検索すると、ほぼ確実に目当ての動画が閲覧できるか不思議に思ったことはありませんか?』
「そ、それは……」
『単純な事ですよ』
「………?」
『管理人が閲覧を許可するとその動画が撮影され、自動的に掲載されるんです』
一息間を置いて、彼は静かに言った。無論、すぐに理解など出来るはずがなかった。
「…ちょ、ちょっと待ってくださいよ。それって、管理人が頑張るって事ですか?」
管理人になったユーザーは、自分の出来る限り検索された動画を撮影ないし制作し、それを掲載する。
『いいえ。撮影は勝手に行われ、動画が出来次第サイトに掲載されるんですよ』
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