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そんな俺の予想も、彼は簡単に否定した。
『……当サイトは、管理人が管理している訳ではありません。管理人が管理するのは、あくまでも動画閲覧の許可を出すかどうかだけです』
サイトは誰かに運営されているわけではなく、管理人はただ閲覧処理をこなすだけ。現管理人さんも、この管理人心得に従って管理しているだけに過ぎず、自分でこのサイトを作ったわけでもなければ、自分が最初の管理人だというわけでもないらしい。
「…でも…それが事実でも、俺には信じられません…」
『信じられないのは当然のことですが、残念ながら事実です』
「………」
俺は黙った。頭がパンクしそうだったから。
『…なら、ひとつ試しに処理して下さい』
「……え……?」
『一番上の、レッドゾーンと言う所をクリックして下さい』
「はい……う、な、何ですか、これ……!?」
強姦。痴漢。殺人。犯罪……。そんな単語しかない大量の検索ワードの山は、一面真っ赤だった。余りの醜さに、俺は思わず目を疑った。
『絞込と言うところで、貴方の住んでいるところに近くなるようにクリックしていって下さい』
都道府県。市町村区。押していく毎に、赤文字の検索ワードは数を減らし、最後に残ったものの一番上には……
「安田、早紀……路地裏…強、姦……っ!?」
赤文字で、確かにそう書いてあった。俺は唐突に気分が悪くなって、吐きそうになる。
『分かっているでしょうが、赤文字なのは人道的に問題のある動画です。その一番上のをクリックし、動画の閲覧を許可して……』
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