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トースト一枚に、目玉焼きと少しの野菜。これが俺の今朝の朝食。なかなか健康的だろう?
色んな女の子と仲良くなるゲームの主人公風に自己紹介をすれば、俺の名前は若葉圭吾。エネルギッシュな高校二年生だ。
趣味はゲームに読書。と言っても、読むのはライトノベルだけ。その方が手軽に色んな作品を読めるからな。
ここまではギャルゲーとほとんど変わらないが、一番重要な所が違う。それは……
「お~い、圭吾、学校行くぞ~?」
朝お迎えに来てくれる幼なじみの女の子がいないという事だ。
俺が住んでいるのは、学校の寮だ。そのため、朝はいつも隣の部屋の親友、大河内一也が来てくれる。
「おぅ、今行くよ」
鞄を取り、忘れ物がないかチェック。今日は体育がないから、ジャージはいらない。
「……じゃ、行ってくるよ。父さん、母さん」
部屋を出る直前に、仏壇に手を会わせる。これは両親のだ。
俺の親は、俺が小さい頃に交通事故で死んだ。激しい雨の降る、暗い夜だった。その日、両親は二人で出かけていて、俺は家で祖母と二人で留守番していた。両親は、交差点でスリップした大型トラックの下敷きになり、病院に運ばれたと連絡が入って、祖母と一緒に行ったときには、もう遅かった。
高校になるまでは、祖母と祖父が面倒を見てくれた。親戚達も支えてくれて、高校に入ってからは一人で暮らすようになり、仕送りしてもらっている。
「あ、そうだ圭吾、アスタリスクの噂、しってっか?」
学校への道の途中、一也が唐突に切り出す。アスタリスクというのは、例の動画サイトの名前だ。
「…噂? 珍しいな、お前が噂の話するなんて。どんなだ?」
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