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「それがな、あのサイト、しばらくの間サイトの管理を、ユーザー登録している人の中から選ぶときがあるらしいんだよ」
「なんだ、それ?」
「いやさ、あのサイト、動画をダウンロードは出来るのに、掲載出来るとこ無いだろ? それに、不特定多数の人が検索かけるのに、ほとんどヒットするっておかしいだろ?」
「まぁ、確かに……」
一也の言う通り、アスタリスクには動画掲載する場所がない。出来るのはダウンロードだけだ。なのに、不特定多数の人間が満足する量の動画が掲載されているのは、不思議でならない。それは俺も前から思っていたことだ。
「でも俺、ユーザー登録してるけど、そんな連絡は入ってないぞ?」
「だから噂だって。でも、管理権がもらえたら、あの動画の秘密が分かるかも知れないぞ?」
「まぁ、そうだけどさ…」
たかが噂。そうだったらいいなとは思うけど、それは単なる空想に過ぎない。ドラえもんのようなものだ。
ともかく、今の俺達に大事なのは管理権ではなく、目の前の現実だ。今日はなんと中間テストがあるのだ。正確には、今日からテストが始まるわけだが。
「…一也、お前テスト大丈夫か?」
「誰に訊いてんだよ。一夜漬けのプロをナメるなよ!?」
「いや、そこ誇るとこじゃないから」
学校に着いた俺達は、そんな感じでうだうだしながら教室に入る。やはり皆、机の上に教科書やらプリントやらを広げて、最後の粘りを見せていた。
「…あ、おはよー、圭吾君!」
「あ、あぁ、おはよう」
朝から元気に挨拶してくれたのは、委員長の安田早紀。彼女は友達に勉強を教えているらしかった。
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