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「今日からテストだねぇ。どう? 自信ある?」
「ま、まぁ、それなりに……」
「じゃあさじゃあさ、どっちがいい点取れるか、勝負しようよ! 負けた方は、駅前の鯛焼きおごるってのどう?」
「あぁ、それ位だったら別に良いけど…」
「やった~! ようし、張り切っちゃうぞ~!」
……何と言うか。
「ねぇ、早紀。ここは~?」
「あ、ごめんごめん! えと、ここは……」
苦手だ……
「ようやく解放されたな。今の内に行こうぜ」
「お、おぅ…」
俺達は彼女から逃げるように、自分の席にむかった。俺の席はなんと、窓際の一番後ろの席なのだ。授業中に外を眺められるわ、クラスの他のやつらの観察が出来る(別に変な趣味ではない)わで、俺にとってかなり良い環境である。
「お前、まだ委員長のこと苦手なのか?」
「まぁな…あのテンションに付いていけないというか、話しづらい訳じゃないんだけど、何かな…」
委員長はちゃんとした女の子だが、男子にも普通に接してくる。明るい性格だから、話しづらいこともない。そのせいか、彼女はこのクラスのみならず、他のクラスの男子にも人気があり、本人の知らないところでファンクラブや親衛隊と自称する人物の存在もあるらしい。
「ふ~ん。でもお前、委員長が相手だと、意外と頼みを聞くよな? そのせいもあるんじゃないか?」
一也が言っているのは、委員長が俺に対して「頼み事」をよく持ち掛けることについてだ。今日は「点数勝負」だが、以前は「小説貸して」だの「勉強教えて」だの、そういったことが多数あった。
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