4人が本棚に入れています
本棚に追加
「俺だって何でも聞いた訳じゃないぞ? 一回、面倒くさそうな事を断ったこともあるけど、そん時は……」
「そん時は…?」
「…泣きそうな顔された…」
ありゃーと、一也は苦笑いしながら言う。そん時は本当に泣きそうだったから、かなり困った。結局、そん時は渋々彼女に付き合うことにして、どうにか落ち着いてもらった。
「ほら~、席着け、ホームルーム始めっぞ~」
「うわっ、もう来たよ、全然勉強してないのに!」
チャイムが鳴るより一瞬早く、担任の先生が入ってきた。喋り方はこんなんだが、ポニーテールの似合う女性の先生だ。
「起立。おはようございます」
委員長が号令をかけると、先生は相変わらず男っぽい喋り方で、本日の連絡事項を告げる。
「今日からテストだが、不正はしないように。した者は、謹慎処分の上に私が個人的に罰を与えるので、覚悟しておくように。以上」
毎朝のことだが、この先生の話はいつも短い。だが、こういう性格の上美人とくれば、生徒からの人気も高い。だから、個人的にどうこうなんて事を言うと……
「…おい、先生が個人的にお仕置きしてくれるんだとよ……!」
「……へへ、何かこう、来るよな…?」
盛る男子。まぁ、しょうがないと言えばしょうがないけど……担任てどうよ?
「委員長、号令」
「起立。礼ー」
ホームルームが終わったあと、机の中や周りを片付けて出席番号順に座る。こうなると俺は不幸だ。何故なら、この場合俺の席は教卓のまん前になる。一番前の席だ。
「憂鬱だなぁ……」
ぶつぶつ文句言いながらも、俺はその席に移動。てか、委員長の席なんだけどね。
最初のコメントを投稿しよう!