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店の中には、クマやウサギの他に色んな動物のぬいぐるみがあった。手のひらサイズの物から、漫画でしか見たことのない何かデッカいのもある。 「どのくらいの物だったら大丈夫なの?」 「う~ん…こんくらいかな」 委員長に買ってもいい値段を訊かれ、すぐ側にあった手のひらサイズのクマのぬいぐるみを手に取り、そう言った。ショーウィンドウの中にあったものと同じやつだ。 「じゃあ、それがいい」 「…え? 別に他のでも構わないんだけど…?」 「選ぶのはアタシなんだから、いいでしょ?」 確かにそうだし、別に文句はないからいいけど、あれだけアッチも可愛いコッチも可愛いとか言ってたわりには、随分といい加減な決め方だな… 「それじゃ、一緒に買いに行こ?」 「一緒に!? …勘弁してくれよ」 「嫌、なの…?」 「…分かりました。行きます……」 「やった!」 ここまでくれば、言わずもがな。本日三度目だ。 俺はニコニコ顔の委員長と二人で、クマのぬいぐるみをレジに持って行く。周りのお客に、俺達はどう写っているのか、なるべく考えたくない。 「…すみません。これください……」 店員さんに商品を出し、千円札を渡してお釣りを受け取る。クマはそのまま委員長の手に。 「本当にこれで良かったの?」 「うん。これじゃなきゃダメなの」 「ならいいけど…」 店を出てから、俺達は商店街を抜けた。心配してたほど沈黙は流れず、普通に会話しながら夕焼けの道を歩いた。 「じゃあ、俺こっちだから」 「うん。ぬいぐるみ、ありがとね。…圭吾君て、やっぱり優しいね」 「一也には薄情者呼ばわりされたけどな」 委員長は可愛らしく笑う。俺もつられて、短く笑った。
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