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混乱中の俺を尻目に海留少年は部屋の奥の明かりをつけて、眼鏡少女はその間俺を奥にある来客用のソファーへと案内した。
視界がまだ落ち着かないまま会話が始まり、事情報告を終えるとニコニコ顔の海留少年は、
「なるほど、あの皇帝のパシリってわけだね♪」
「パシリ言うな」
合ってはいるが認めん!すると見かねた眼鏡少女が、
「今はそんなことはどうでもいいんです!全く。会長も適当な指示ばっか出して…」
見るからに真面目そうな彼女は、席を外して仕切りを挟んだ向こうの方で立派な机のパソコンを叩いている不機嫌会長に軽い陰口を叩いた。すると、
「眠い」
と突如別の声がした。
「じゃあ寝ててください」
と川御が指摘した。
俺は驚いた、まさか既に向かいのソファーにてまどろんでいる他の生徒会役員がいるとは。
「せっかく起きてきたんだからこっちで話してもらおうよ」
「いいんです、この人は居ても大して変わりませんから」
「変わんないならいてもいいじゃん?」
眠そうなこの役員の会議参加、不参加を巡る中、なかなか緊張も取れてきてふぅと息を漏らせるまでになってきた俺。はて、俺は一体何をしてればいいのやら。海留少年と眼鏡少女の喧騒。俺は完全に蚊帳の外らしい。
しばらくして、
「まあそれは置いときましょう。とにかくこの人には例のことをはっきりさせてもらわなければ──」
「だから何のことだ!」
さすがに口を突いて出た。いつまでここで沈黙してりゃ良いんだという不満が重な―――
「黙っててください」
「…はい」
見事に切り捨てる少女の目を見て、「下手に逆らうとみじん切りにされかねん!」と俺のブレインはあっさりと計算を叩き出した。
「この人頭堅いから気にしなくていいよ~」
と、少年が俺に向かって言ってきたが、返事に困る。
堅いと言われた本人がこっちを睨んでいるのだから。これに同意したらやっぱりみじん切りか。
「この人の言うことには耳を貸さなくていいです」
両方とも耳を貸さないことにした。もうホント、面倒だからな。
「さて、本題に入りますが」
埒があかないと考えたのか、話を切り替える少女。
「少年の持ってきた――」
「少年って!?」
少年って俺のことか?呼ばれ慣れない代名詞に困る俺。まあ俺も相手の名前知らないんだけどさ。
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