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「騒がしいわね、どうしたの?」
今の大音で出てきた会長。仕切りを大回りして顔を覗かせた。
「か、会長、この人……ッ!」
信じられないものを見たかのような表情をしている。
「まさか、刻印を見たの?」
「そう…みたいです」
刻印?羽のマークのやつか?
「もう一度、問います」
眼鏡女子が再び俺に向き直って、震える口から言葉を紡ぎ出す。
「あなたが見たマークはどんな形をしてましたか」
「羽──」
「もう駄目ね。リミットを迎えたわ」
即決で判断された。会長は大但なお方だった。
「って待て!何か言い方からして俺死んじゃうみたいな流れじゃねえか!?」
疑問が俺の唇を突き破って先を行き、
「その通り、死ぬわよ」
そして絶望的な言葉が突き刺さった。
「それもただ死ぬだけじゃない。人ならぬ者が命を奪いに来て──」
「は、何言ってんだ?映画の設定かオイ!?」
すると今度は海留少年が口を開く。きっと楽観的な君なら何か……
「ご愁傷さまだね」
こいつまでこんなことを言うのか。
皇帝が任せたと言っていたのはこれのことか?この妄想集団の精神教育を任されたのか俺は?
「あと、あんたがいると上からいろいろと干渉が入るのよ」
非情にもそう言い捨てた会長。要は、俺は邪魔ものと?
そんなにヤバイものなのか?たかが設計図が?羽見るだけで死にますよってどんな宗教?
──ん?
待て、見るだけで罪ならなぜ皇帝は設計図を直接、袋にも箱にも入れず、忠告1つしなかった…?その時点で矛盾じゃないか?
この設計図、忠告が必要なほど危険なものではないということじゃないか?
「というのも」
睡眠少女が口を開く。
「刻印は普通見えない。生徒会でも」
?
「つまり、刻印の見えるあなたはそれはそれは珍しく、しかも会長の技を咄嗟に避けたのですから世界中があなたを求めて」
「もしくは敵の手に回らないように殺しに来るよ♪」
理屈的には分からなくないが!
実はお前らも羽、見えてるんだ……ろ?
俺だけが見えるってどういうわけだよ?
全ては嘘で、あのリアクションからしてドッキリには見えないから、こいつらの頭がおかしいだけ。さあ、これで全部辻妻が合うよな?
もうこれで良くないか?俺は若くしてこんなに悩みたくねーよ。
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