二人の始まり

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放課後。劇団にて。 「『夢御伽(ゆめおとぎ)』って読むんですか?この台本のタイトル。」 「うん。当たり。このミュージカル実は俺の家に伝わる御伽話がモチーフなんだ。」 「へぇ~。どんな話なんですか?」 「…もう千年以上前に俺の先祖さんと浜にいた人魚が恋をしたらしい。人魚はその綺麗な声でご先祖さんのためだけにうたって…。ふたりは本当に愛し合っていた。しかし、村のひとたちに引き離されてしまう。だけど、ご先祖さんはずっと人魚の声を探し続けるって話。んで、俺もこの舞台の『人魚役』探してたとき、菜月の声が聞こえたんだ。そのとき、俺の人魚はこのこだ!!っておもったんだ。」 「おーい。そろそろ練習始めるぞ。」 ―なんて不思議だろう。 あたしの歌を総士がたどってわたしたちは出会った。 ―この御伽話みたいに。
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