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さらに数日後。劇団にて。
「うわぁ~。これって舞台の衣装!?着てみてもいい?」
「いいよ。じゃ、俺ちょっと外に出とくから。」
―…パタン
―私もこれを着たら少しは人魚っぽく…
突然後ろから引っ張られる。―グイっ
「本当にこれ着て舞台に立つつもり?全然似合いもしないのに。」
―30分後。
―ガチャッ
「菜月、着替えまだ……って…あれっ?…菜月?」
―このころ…菜月は…
「あんたはずるいよ。ただちょっと歌がうまいだけで、総士に気に入られて、人魚役もらって。あたし…あんたのことなんて認めないから!!」
―馬鹿だ。私。こんなに反感かってることにきづかなかった…
――…♪
「電話…。…もしもし?」
「菜月!?今どこ?いきなりいなくなったからびっくりしたよ。」
―総士…。
「……わたしやっぱり人魚役おりる。」
「はっ!?菜月、一体どうした…。今迎えに行くから。」
「……何言ってるの。無理だよ。こんな人混みじゃ。あたしのことんか見付けられないよ。」
「たとえ目隠しされてもその声をたどって、君のこと探すから。……菜月は俺の人魚だから。」
―その声をたどって男は人魚を探す その声をたどって
「……総士…」
―総士!!
―人魚はうたう
愛しい人のために
――目を閉じて誓うように運命を信じてうたうよ
空に響くように
旋律は遥か遠くまで
あたしの思いをのせて
届けるよ
いつか きっと
出会えると信じて
―届け。あなたの心まで。
「菜月 その声をたどってやっと君をみつけた。」
―あのときも、いまも、きっと総士に見付けてもらうために私は歌ってたんだ。「あたし、歌が好きなだけで、演技もできないし…人魚みたいにはなれないけど…」
「そんなことない。こうすれば本当に人魚みたいじゃん」
―人魚が愛しいひととあえたようにわたしもやっとみつけた。
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